同じ映像でまったく違ったグレーディングでルックの印象が変わる。それだけ映像を作る上で重要な工程の一つです。今回はKITANO TAKESHI監督のKids Returnを参照にグレーディングしたのでその説明していきます。
この記事はこんな人にオススメ
- グレーディングを何から始めたらいいか分からない方
- シネマルックに興味がある方
最終ノードツリー

Color Space Transform (CST)
まずはCSTを適用させカメラに合わせ設定をする(オリジナルフッテージ: C-log3)。
プライマリコレクション
Split Screen
参照イメージ

Gallaryの中に参照イメージをDrag & Dropする。

参照のイメージをクリックしてから、図1の手順で選択していくと、

スプリットスクリーンになる。

露出|コントラスト|彩度の調整
CSTの前にNode(primary)を作成する。CST Nodeをクリックした状態で、

スプリットスクリーン

白線を引いたオリジナル(左)で参照(右)。
図3を確認しながら、Primaries – Color WheelsでGain / Gamma / Liftで調整していく。

続けてContrast / Pivot / Saturationも調整する。
ホワイトバランス
Node(primary)の後に新規Node(white blance)を作成し、ホワイトバランスを調整。

調整前(左)と調整後(右)。

Color WheelsのOffsetで調整した。
セカンダリコレクション
Qualifier
新しくNode(look)を作成し、続けてLayer Node(skin)も作成。

ここまでのNode Tree

SkinのNodeをクリックしてQualifierでスキンを選択しHSLを調整したあとに、パワーウィンドウで背景と人物を分離させる。

スプリットスクリーン
調整前

図5の参照を確認しながら色をマッチさせていく。
調整後


全体的の色調整はできたが、この段階では参照と比べて空と地面がマッチしていないのでウィンドウを使い個別で調整していく。
Parallel Node
Parallel Nodeを作成。

Gradient WIndowで空と地面の輝度・色調整行いCircle Windowで人物を目立たせるため明るさの調整をした。
空(左)地面(センター)人(右)。

Parallel調整後、新規Node(global ajustment)を作成して全体の色を調整した(図1参照)。
エフェクト
Noise Reduction
一番初めに新規Node(Noise Reduction)を作成して、ノイズ除去をする。

ノイズ除去の適用方法が分からない方はこちらの記事をお読み下さい。
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Halation

オリジナルのハイライト部分を参照のハイライト部分とマッチさせたかったのでHalationを加えた。


Grain
最後にフィルムルックには欠かせないGrainを加える(画像をクリックすると拡大します)。

Sharpen
Grainの粒子を目立たせるためにも、シャープネスを少し加えた。
Glow
全体の明るさを調整するためGlowを適用。
最終比較

おわりに
今回の参照は海はありませんが野外、光など共通点があります。参照イメージは共通点があるものを探すことが重要になります。オリジナルより参照の空の範囲が違ったりするので、ハイライト部分で波形が違うと思いますが、違うところは自分の目で調整を行なっていくのがよいでしょう。今回はKids Returnを参照にグレーディングをしましたが次回はまた違う映画の1シーンで試してみようと思います。
文章: tetsu( @eizoblog)
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